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テクニカルサポート
オリゴ核酸の受託合成のテクニカルサポート
siRNA設計方法
スタートコドンから、75塩基以上下流の最初のAAを見つけます。
転写翻訳因子の結合部位を避ける狙いがあります。AAに続く19ヌクレオチドを記録する。
※AA(N19)でもかまいませんが、既に報告のあるsiRNA配列には、AAG(N18)が多くなっています。
次に多いのが、AAC(N18)です。
(N18)の下流のmRNA配列は、TT、TN、NT、AAである場合が多くなっています。
siRNA配列周辺の上流、下流の12塩基程度は、GC含量が50%前後で、塩基配列に偏りのないものが多くなっています。選択した21塩基をNCBI databaseのBLAST-searchにかけて、配列が目的遺伝子に対して特異的であることを確認します。
他の遺伝子にも相同性がある場合は、さらに下流のAAを選択し、Step2に戻ります。
※また、GまたはCが3つ以上連続した配列は、特殊な立体構造をとるため避けてください。
(ただし、実際にはGが4つ連続した配列のオリゴにも、RNAi効果のある例があります。)
※polymorphismのある配列は避けてください。1塩基のミスマッチがあっても、siRNAの効果は弱くなります。
※ 注意
ターゲット遺伝子の発現抑制とは独立に、19塩基中11塩基以上の相同性がある遺伝子群の発現が、30%から50%程度抑制される可能性があるようです。
BLASTサーチをした後のsiRNA選択を、より厳しくしたほうがよいようです。
また、siRNAの投与によってターゲットと異なる予期せぬ遺伝子の発現が抑制され、表現形が変化してしまう可能性も否定できません。
よって、1つのターゲット遺伝子に対して、異なる部位に対する配列のsiRNAを用いて、同様の表現形の変化があることを確認することも必要になります。
in vitroの実験では、siRNAの中央部11塩基程度がmRNAの配列と一致すれば、RISC複合体がmRNAを切断するようです。
よってoff-Targetを全く起こさないsiRNAの設計は、難しいことがあります。
siRNAの設計をしてみたが自信がない、条件を満たす配列がない、設計をしてみてほしい、といった場合は、お問い合わせください。
弊社で独自に設計し、ご提案させていただいています。
すでに効果の知られているsiRNAにも、off-Target発現抑制活性があるという警告されています。
将来は、厳密な証明のために、1つのターゲット遺伝子に対して、複数のsiRNAで実験し、同様の表現形の変化があることを見せることが、要求されております。
あるいはDNAチップなどを用いて、ターゲット以外の重要な遺伝子に、off-Target抑制が起こっていないことを、証明する必要が出てくるかもしれません
mRNA
AUG-----AAGGACACGUGCUACUAGAUUUC----------
75塩基以上 下流 (配列例)
↓
siRNA 5'-GGACACGUGCUACUAGAUU dTdT-3'(センス鎖)
3'-dTdT CCUGUGCACGAUGAUCUAA-5'(アンチセンス鎖、こちらの鎖がmRNAとアニーリングして機能する)
上記の場合のsiRNAの注文は、
sense 5'- GGACACGUGCUACUAGAUUTT-3'
antisense5'- AAUCUAGUAGCACGUGUCCTT-3'
となります。
siRNA設計サービス (siRNA合成をご注文いただける方は無料)
Genbankのaccessionnumber等と、その他ご存知の情報、ご希望(遺伝子の塩基多型情報や、マウスとヒトのターゲット遺伝子に共通で使える配列、相同性のある遺伝子グループ内でターゲット遺伝子特異的な配列、といったもの)を、【order@jbios.co.jp】までお知らせください。
siRNA合成のご注文いただける方は、この設計は無料です。
この場合、実験結果を簡単にお知らせいただけると幸いです。
今後の設計の参考とさせていただきます。弊社最新設計方法を公開しますので、参考にしてください。
※ご注文の際は、必ずセンス鎖とアンチセンス鎖の両方の配列を明記してください。 (5'→3'の順に書く。3'側にオーバーハング”TT”を付け加える。)
※配列はお間違いないようご注意ください。
※精製方法(カラム精製orHPLC精製)のご指定およびアニーリングが必要な場合は、その旨お知らせください。
弊社が採用しているsiRNA設計方法(既報の論文と弊社独自のルールを導入)
①Gが3つ以上連続する配列、Cが3つ以上連続する配列、およびGCが5つ以上連続する配列(できれば4つ以上)を
siRNA配列の対象からはずします。これらのGC配列が、siRNA配列と近接することも可能な限り避けます。
また、遺伝子配列全体を眺めてみて、GCリッチな領域、塩基に偏りがある領域も避けます。
(こうした配列の領域周辺では、mRNAが特殊な2次構造をとり、siRNAがアニーリングしにくくなる可能性があり、さらに、
off-Target の確率が高まる(少しのミスマッチがあってもアニーリングして RNAiを誘発してしまう)と考えられます)
②AUがリッチな 4塩基(できれば5、6塩基)の配列をマークします。これがsiRNAセンス鎖の3'側になります。
③AUリッチな配列の上流15塩基程度を見て、GC含量が 50 % 程度以下であることを確認します。
GC含量が高い場合は避けます。
④siRNAコア配列は 19塩基から 21塩基が良いので、②および③で選択した配列が適当な長さになるように、上流、下流ともに
1,2塩基ずらし、5'端がGまたはC、3'端がAまたはUになるように、長さを決定します。
(3'端から2番目の塩基も、Uであるほうが好ましいという報告(2005年7月)があります)
⑤センス鎖は、3'側にTTを加えます。
3'末端は、DNAの方が、合成料金が安いため(オーバーハングの付加)。
センス鎖オーバーハング部分に相当する2塩基のmRNA配列には、少なくとも1塩基のAまたはUを含んでいることが好ましい為
含まない場合は、1塩基上流にずらしてみます。
⑥アンチセンス鎖は、3'側に mRNA配列と相補の2塩基の DNA配列を加えます(オーバーハングの付加)。
アンチセンス鎖のオーバーハングは mRNA配列と相補であることが必要です。
結果、センス鎖、アンチセンス鎖ともに、全長21塩基から23塩基の siRNAを設計することになります。
この方法で、1 kb の mRNAの中に、少なくと2つから3つの候補が見つかると思います。
上記の方法で設計した3種類の siRNAを合成すれば、少なくとも2つは遺伝子発現を強力に抑制するようです。
3つとも抑制しない場合は、トランスフェクション効率が悪い、RNAi が起こりにくい性質の細胞株だった等、他の原因が考えられますので、siRNA設計だけでなく、実験の条件の方を、すでに効果の知られている配列のポジティブコントロール siRNAを用いて再検討してみてください。