オリゴ核酸の受託合成のテクニカルサポート

siRNA設計方法

  1. スタートコドンから、75塩基以上下流の最初のAAを見つけます。 
    転写翻訳因子の結合部位を避ける狙いがあります。

  2. AAに続く19ヌクレオチドを記録する。 
    ※AA(N19)でもかまいませんが、既に報告のあるsiRNA配列には、AAG(N18)が多くなっています。 
    次に多いのが、AAC(N18)です。 
    (N18)の下流のmRNA配列は、TT、TN、NT、AAである場合が多くなっています。 
    siRNA配列周辺の上流、下流の12塩基程度は、GC含量が50%前後で、塩基配列に偏りのないものが多くなっています。

  3. AA-(N19)の配列のGCコンテンツが50%前後であることを確認します。 
    30%以下や70%以上である場合は、さらに下流のAAを選択し、step2に戻る。 
    ※40%前後を推奨しているオリゴ合成会社もあるようです。
     
    ※重要 
    東京大学程博士、西郷博士のグループの設計ソフトはこちら【siDirect (rnai.jp)】です。 
    BLASTでは見つけることのできない、off-Targetを引き起こす可能性の高いsiRNA候補配列を、自動的に除くこともできるようです。(2004年5月) 
    siDirect: highly effective, target-specific siRNA design software for mammalian RNA interference. 
    Yuki Naito, Tomoyuki Yamada, Kumiko Ui-Tei, Shinichi Morishita and Kaoru Saigo 
    (2004). Nucleic Acids Res., (in press) 
    センス鎖の5'端をGまたはCに、3'端をAまたはTに、3'端側をATリッチにすると、RNAi効果のある可能性が高いようです。 
    センス鎖の5'端をGまたはCに、3'端をAまたはTに、6塩基目をAに、3'端側をATリッチにし、GCコンテンツは32~53%、とすると、RNAi効果のある可能性が高いようです。 
    こちらの論文によれば、アンチセンス鎖の2番目の塩基がUであることが好ましいようです。

  4. 選択した21塩基をNCBI databaseのBLAST-searchにかけて、配列が目的遺伝子に対して特異的であることを確認します。 
    他の遺伝子にも相同性がある場合は、さらに下流のAAを選択し、Step2に戻ります。

    ※また、GまたはCが3つ以上連続した配列は、特殊な立体構造をとるため避けてください。 
    (ただし、実際にはGが4つ連続した配列のオリゴにも、RNAi効果のある例があります。) 
    ※polymorphismのある配列は避けてください。1塩基のミスマッチがあっても、siRNAの効果は弱くなります。

※ 注意

ターゲット遺伝子の発現抑制とは独立に、19塩基中11塩基以上の相同性がある遺伝子群の発現が、30%から50%程度抑制される可能性があるようです。 
BLASTサーチをした後のsiRNA選択を、より厳しくしたほうがよいようです。

また、siRNAの投与によってターゲットと異なる予期せぬ遺伝子の発現が抑制され、表現形が変化してしまう可能性も否定できません。 
よって、1つのターゲット遺伝子に対して、異なる部位に対する配列のsiRNAを用いて、同様の表現形の変化があることを確認することも必要になります。 
in vitroの実験では、siRNAの中央部11塩基程度がmRNAの配列と一致すれば、RISC複合体がmRNAを切断するようです。 
よってoff-Targetを全く起こさないsiRNAの設計は、難しいことがあります。

siRNAの設計をしてみたが自信がない、条件を満たす配列がない、設計をしてみてほしい、といった場合は、お問い合わせください。 
弊社で独自に設計し、ご提案させていただいています。

すでに効果の知られているsiRNAにも、off-Target発現抑制活性があるという警告されています。 
将来は、厳密な証明のために、1つのターゲット遺伝子に対して、複数のsiRNAで実験し、同様の表現形の変化があることを見せることが、要求されております。 
あるいはDNAチップなどを用いて、ターゲット以外の重要な遺伝子に、off-Target抑制が起こっていないことを、証明する必要が出てくるかもしれません

mRNA 
AUG-----AAGGACACGUGCUACUAGAUUUC---------- 
     75塩基以上 下流      (配列例) 
          ↓ 
siRNA       5'-GGACACGUGCUACUAGAUU dTdT-3'(センス鎖) 
               3'-dTdT CCUGUGCACGAUGAUCUAA-5'(アンチセンス鎖、こちらの鎖がmRNAとアニーリングして機能する)

上記の場合のsiRNAの注文は、 
sense 5'- GGACACGUGCUACUAGAUUTT-3' 
antisense5'- AAUCUAGUAGCACGUGUCCTT-3' 
となります。

siRNA設計サービス (siRNA合成をご注文いただける方は無料)

Genbankのaccessionnumber等と、その他ご存知の情報、ご希望(遺伝子の塩基多型情報や、マウスとヒトのターゲット遺伝子に共通で使える配列、相同性のある遺伝子グループ内でターゲット遺伝子特異的な配列、といったもの)を、【order@jbios.co.jp】までお知らせください。 
 siRNA合成のご注文いただける方は、この設計は無料です。 
この場合、実験結果を簡単にお知らせいただけると幸いです。
今後の設計の参考とさせていただきます。弊社最新設計方法を公開しますので、参考にしてください。

※ご注文の際は、必ずセンス鎖とアンチセンス鎖の両方の配列を明記してください。 (5'→3'の順に書く。3'側にオーバーハング”TT”を付け加える。) 
※配列はお間違いないようご注意ください。 
※精製方法(カラム精製orHPLC精製)のご指定およびアニーリングが必要な場合は、その旨お知らせください。

弊社が採用しているsiRNA設計方法(既報の論文と弊社独自のルールを導入)

①Gが3つ以上連続する配列、Cが3つ以上連続する配列、およびGCが5つ以上連続する配列(できれば4つ以上)を 
 siRNA配列の対象からはずします。これらのGC配列が、siRNA配列と近接することも可能な限り避けます。 
 また、遺伝子配列全体を眺めてみて、GCリッチな領域、塩基に偏りがある領域も避けます。 
 (こうした配列の領域周辺では、mRNAが特殊な2次構造をとり、siRNAがアニーリングしにくくなる可能性があり、さらに、 
   off-Target の確率が高まる(少しのミスマッチがあってもアニーリングして RNAiを誘発してしまう)と考えられます) 
 
②AUがリッチな 4塩基(できれば5、6塩基)の配列をマークします。これがsiRNAセンス鎖の3'側になります。 
 
③AUリッチな配列の上流15塩基程度を見て、GC含量が 50 % 程度以下であることを確認します。 
 GC含量が高い場合は避けます。 
 
④siRNAコア配列は 19塩基から 21塩基が良いので、②および③で選択した配列が適当な長さになるように、上流、下流ともに 
 1,2塩基ずらし、5'端がGまたはC、3'端がAまたはUになるように、長さを決定します。 
 (3'端から2番目の塩基も、Uであるほうが好ましいという報告(2005年7月)があります) 
 
⑤センス鎖は、3'側にTTを加えます。 
 3'末端は、DNAの方が、合成料金が安いため(オーバーハングの付加)。 
 センス鎖オーバーハング部分に相当する2塩基のmRNA配列には、少なくとも1塩基のAまたはUを含んでいることが好ましい為 
 含まない場合は、1塩基上流にずらしてみます。 
 
⑥アンチセンス鎖は、3'側に mRNA配列と相補の2塩基の DNA配列を加えます(オーバーハングの付加)。 
 アンチセンス鎖のオーバーハングは mRNA配列と相補であることが必要です。 
 
 
結果、センス鎖、アンチセンス鎖ともに、全長21塩基から23塩基の siRNAを設計することになります。 
 
この方法で、1 kb の mRNAの中に、少なくと2つから3つの候補が見つかると思います。 
上記の方法で設計した3種類の siRNAを合成すれば、少なくとも2つは遺伝子発現を強力に抑制するようです。 
3つとも抑制しない場合は、トランスフェクション効率が悪い、RNAi が起こりにくい性質の細胞株だった等、他の原因が考えられますので、siRNA設計だけでなく、実験の条件の方を、すでに効果の知られている配列のポジティブコントロール siRNAを用いて再検討してみてください。

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