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テクニカルサポート
オリゴ核酸の受託合成のテクニカルサポート
合成報告書について
オリゴ核酸には合成報告書が添付されます。
合成報告書には、配列毎の収量(OD値,モル数)、Tm値、分子量、修飾内容、配列などのデータを記載されています。
分子量(MW)
計算式は以下の通りです
(核酸)分子量 =( NA × 313.2 )+( NC × 289.2 ) +( NG × 329.2 )+( NT × 304.2 )- 61.9
※NA,NC,NG,NT:A,C,G,Tそれぞれの塩基数、ミックス塩基はそれぞれの平均分子量を用いています。イノシン(分子量314.2)、ウリジン(分子量290.2)、RNAにも対応。
※基本的に特殊塩基や標識も上記に追加して含めて表記しております。
非常に大きい分子量の標識(HRP等)は、例外的に含めておりません。
※特殊標識等は、概算値になる場合がございます。
収量(OD, ug, nmol)
OD値 260nmの吸光度を測定しています。
ug [ OD値 ] × 33 (μg) で算出した概算値となります。
モル数 ( nmole ): [ OD値 ] × 33 (μg)/ [ 分子量 × 1000 ]
表記の収量(nmole)は、OD値(A260nm)と分子量から求めた概算値となります。
※合成産物の純度は100%と仮定した値です。(カラム精製品の純度は,通常80~90%前後です。)
※合成報告書上の分子量は 5'標識、3'標識も含めており、モル数も表記の分子量を元に算出しております。
※HRP標識等、分子量が極端に大きい標識については含めないものもございます。
厳密には、各標識にもそれぞれ固有の吸光があり、測定した吸光度にあまり影響がないものも多いのですが、
念のため含めて計算をしております。
● 合成品は精製に使用した溶出溶媒をエバポレータで飛ばして乾固させてお届けしております。 その乾燥過程で最終製品がペレット状、フレーク状等多様な形態となることがあります。溶解してお使いください。
基本的には水溶性は高いのですが、配列組成によって溶解しづらい場合もございます。
必要に応じ加熱とボルテックスをしてお使いください。
Tm値
合成報告書に記載のTm値は接塩基対パラメータ「NearestNeighbor法」を取り入れて計算しております。
Tm値計算方法:
1MNaCl中における二重鎖の熱力学安定性(⊿G°37)は最近接塩基対パラメータ(※下図)を用いて(1)式で計算される。
⊿G°37,1MNaCl (kcal・mol-1)= Σ⊿G゜37,NN(1)
熱力学安定性⊿G°37 と、溶解温度Tmの関係は経験式として非自己相補鎖の場合(2)式により求められる。
Tm-1(K)=-3.27×10-3・⊿G゜37-1+2.77×10-3(2)
100mMNaClの塩濃度における溶解温度Tmは(3)式により補正される
Tm,0.1MNaCl(K)=0.891Tm,1MNaCl+25.0(3)
最近接塩基対パラメータ
Thermodynamic parameters for duplex formations in 1 M NaCl-phosphate buffer
Sequence |
⊿G°37,NN/kcal mol-1 |
---|---|
AA/TT |
-1.2 |
AC/TG |
-1.5 |
AG/TC |
-1.5 |
AT/TA |
-0.9 |
CA/GT |
-1.7 |
CC/GG |
-2.1 |
CG/GC |
-2.8 |
GA/CT |
-1.5 |
GC/CG |
-2.3 |
TA/AT |
-0.9 |
Initiation |
3.4 |
修飾/配列
修飾があるものは、修飾内容を記載しています。
例 ”5'末端6FAM” 等
5'末端や3'末端以外の修飾の場合等、記号/数字を使用して表記し、
記号、数字が何の修飾を示しているかは、合成報告書下部に記載しております。
(添付データ)ESI-MS分析データ ”LC/MS Anyalysisi Report”
Comment欄には、理論値(整数値)が記載されています。
中央のマススペクトラムで 合成品のMS測定結果(1価値イオン(M-H)のピーク)が確認できます。
※ネガティブモードで測定し、デコンボリューションしたデータになります。
※2価イオンのピーク(おおよそ半分の数値)がみえることもあります。
※精密質量ではなく整数質量になります。
※長鎖になるほど理論値とズレが生じます。
※配列により、欠失、脱プリンが発生することがあります。
※鎖長が80塩基を超える場合や特殊配列の場合、イオン化しにくく測定が難しい場合もございます。
データをつけできない場合もございます。
主なピーク
目的オリゴのピーク
Negativeモードで分析するため、目的オリゴに-Hイオン化されたピークが読みとられるのですが、数Da誤差がでることがございます。
又炭素原子の安定同位体13Cの存在(同位体存在度=1.1%)も含まれる炭素原子数の違いも無視できない値となり波動の原因となります。
目的オリゴのピーク以外に検出されるピークについて以下のようなピークが測定されます。
塩付加ピーク
目的物に+Na(+23n) +K(+39n)等の塩が付加されたサブピークが目的ピーク近辺に見られることがあります。
測定サンプルは測定前に十分な脱塩処理を実施していますが、配列条件(たとえばGCリッチな配列)等によってどうしても塩付加が避けられないことがあります。
多価イオンピーク
目的オリゴに2価や3価のイオンが付加されたピークが目的分子量の1/2、1/3の位置に見られることがあります。
これらのピークは目的オリゴのものと判断されます。
多量体ピーク
目的物が2量体や3量体となったものに1価のイオンが付加された時目的分子量の2×又は3×の位置に多量体ピークが見られることがあります。
特に自己相補性の高い配列の場合よく見られます。
これも目的オリゴのものと判断されます。
脱プリンピーク
A及びG塩基では、酸等のダメージでプリン環が壊れる脱プリンという現象が見られます。
Aでは-115~134DaG-134~150Da短くなったサブピークが現れます。
なるべく脱プリンが起きないように工夫して合成をしておりますが、、
配列によっても脱プリンが起きやすいものもあり、精製過程で完全に除くのは難しいです。
短鎖長ピーク
オリゴ合成は通常3'末端から1塩基ずつ合成を積み上げていきます。
1塩基ごとのカップリング(反応)収率は99%程度とされています。
従って目的物以外に鎖長の短いオリゴが副生されそのようなピークが検出されます。
通常精製によってこれらの不純物、短鎖長オリゴを除くのですが、残念ながら排除できなかったものが残ることがあります。
これら不純物をできる限り少なくなるよう努力しております。
(添付データ)HPLC分析データ(HPLC精製の場合のみ)
短鎖長ピーク
HPLC精製の場合、精製後のサンプルをHPLC分析をしたデータを添付しております。
※ノイズ等を拾わないように弊社における汎用パラメーターにて分析をしております。
面積%が100%になっていても、純度が100%を保証するものではございません。
※分析条件詳細がお知りになりたい場合は、別途お知らせください。
※特殊品などで収量が非常に少ない場合、MSは確認できている場合、HPLC分析を省略させていただく場合がございます。